山口県は、県土の60%がへき地であり、県人口の14%にあたる約20万人の方が暮らしています。県内唯一の県立総合病院である山口県立総合医療センターでは、県行政と連携して、へき地における医療体制の構築に取り組まれています。本稿では、山口県立総合医療センター へき地医療支援センター センター長、原田 昌範先生に「山口県へき地遠隔医療推進協議会」の立ち上げと、厚労省や学会等と連携したへき地離島におけるオンライン診療のムーブメント構築についてお伺いします。

Interview:原田 昌範

山口県立総合医療センター へき地医療支援センター センター長
2000年、自治医科大学を卒業後、山口県立総合医療センターでの初期研修を経て、岩国市立錦中央病院、周南市国民健康保険鹿野診療所で勤務。その後、萩市大島診療所で離島医療に従事。2011年山口県立総合医療センターへき地医療支援部(へき地医療支援センター)勤務。日本プライマリ・ケア連合学会 認定医・指導医・家庭医療専門医。日本外科学会 認定医。日本内科学会 総合内科専門医。社会医学系専門医協会 社会医学系専門医・指導医。身体障害者指定医。日本DMAT隊員。山口大学医学部 非常勤講師。神戸大学医学部 非常勤講師。公益社団法人地域医療振興協会理事・山口県支部長。

はじめに

ー山口県医療の概要について教えてください。
 山口県は人口約135万人で、高齢化率は約35%で、全国より10年進んでいると言われています。さらに県土の60%が法的ないわゆるへき地であり、県人口の14%、約20万人が暮らしています。さらに、このへき地では高齢化率が50%を超えており、保健・医療・福祉の確保も困難な状況にあります。山口県では医療圏ごとの人口あたりの医師数に大きな隔たりがあり、さらに45歳未満の医師数は減少し続け、令和2年にはついに、医師の平均年齢は全国で最高(53.0歳)となりました。地域医療を担う開業医のリタイアも相次ぐ中、人口減少を見越しているためか、継承開業には至らない案件ばかりとなります。今後、新専門医制度によりさらに医師の偏在が予測されます。

ー山口県立総合医療センター へき地医療支援センター(へき地医療支援部)とは
 このような状況から山口県は国の「へき地保健医療対策等実施要項」や「へき地保健医療計画」に基づき、へき地医療の確保・充実を図ってきました。平成3年から県立総合医療センターに「地域医療部」を設置しています。私は山口県庁医療政策課の職員で、平成23年から山口県立総合医療センターへき地医療支援部に出向しています。翌平成23年に県立総合医療センターが独立行政法人化したことにより、柔軟に医師を雇えるようになりました。平成25年にへき地支援をさらに充実させるため、へき地医療支援センターを立ち上げ、自治医科大学出身の医師を中心に医師2名体制から現在では13名まで増えました。
 へき地医支援センターは「山口県のへき地に医療と安心を届け、ふるさとの地域社会を守ること」をミッションに、3つの軸(①診療支援、②仕組みづくり、③次世代の育成)を基本として取り組んでいます。

山口県へき地遠隔医療推進協議会とは

ー山口県へき地遠隔医療推進協議会の立ち上げの背景について教えて下さい。
 第6次医療計画(H23-H29)の時から、山口県における医療連携体制の構築が必要とされる5疾病5事業(※1)の中の「へき地医療」の分野の取り組みとして、遠隔医療推進は項目として掲げられていました。しかし具体的施策は進んでおらず、契機となったのは厚労省による平成30年「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の発表と、「オンライン診療料」という診療報酬項目の新設でした。歴史的に見ると、元来、遠隔医療はへき地医療のアクセス改善を念頭に置いた制度と認識していたのですが、平成30年に「オンライン診療」という単語で定義されたものは、実態としては都会で忙しいビジネスパーソンが利用するような使い方がメインのようになってしまいました
 実は、遠隔医療の解禁に備えて、県内のへき地の診療所でクラウド型電子カルテを導入したり、ICT環境を整備していたんです。活用できないことに、もどかしさを感じて、日本遠隔医療学会学術総会に参加してみたりして、情報収集、仲間集めを始めました。協議会を立ち上げるにあたり、当初は県庁主導で推進してほしいと考えたのですが、山口県立総合医療センターが主体になった方がいいという話になりました。

※1 
5疾病=がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患
5事業=救急医療、災害時医療、へき地医療、周産期医療、小児救急を含む小児医療

山口県へき地遠隔医療推進協議会の歩み

※下記のPDF viewerにてパンフレットをご覧になれます。
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山口県へき地遠隔医療推進協議会パンフレッド-2

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