本稿では前編で見てきた「電子カルテでカバーできない救急外来業務の3つの業務要素」のうち、最後の「3.AI入力支援」について記述します。最後に若手医師確保のツールとしてのNEXT Stage ERの価値を議論します。

寄稿:園生 智弘

TXP Medical 代表取締役医師。
東京大学医学部卒業。救急科専門医・集中治療専門医。
東大病院・茨城県日立総合病院での臨床業務の傍ら、急性期向け医療データベースの開発や、これに関連した研究を複数実施。2017年にTXP Medical 株式会社を創業。2018年内閣府SIP AIホスピタルによる高度診断・治療システム研究事業に採択(研究代表者)。日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。全国の救急病院にシステムを提供するとともに、急性期医療現場における適切なIT活用に関して発信を行っている。

NEXT Stage ERの3分説明動画

3)AI入力支援

電子カルテには、残念ながら気の利いた情報入力支援機能が乏しいです。集中治療室(ICU)の点滴オーダーを行うに際して1人の患者に対して100クリック、10分以上かかることは我々にとって悩みの種であり、結果として病院全体のオーダリングは電子カルテで実行されているにも関わらず、救急・集中治療部門のオーダーや処置のみ紙伝票という病院も多数あります。

さらに、最近いわゆるCDSS (臨床意思決定支援) 機能が電子カルテに追加されていますが、現場の評判は芳しくありません。保険病名をターゲットにした薬剤の禁忌チェックや、入院診療計画書の病名欄に保険病名を引っ張ってくるなどの機能は逆に臨床現場の負担を増やすリスクがあります。クラウド化・AI利用が当たり前となっているIT業界の中で、複合的な要因で電子カルテは取り残されている状況と考えられます。

図2

NEXT Stage ERは、豊富なAI入力支援機能を実装しています。NEXT Stage ER開発当初のコアコンセプトが、「書類業務の効率向上とデータ収集の効率向上の両立」であり、このコンセプトは現代に至るまで引き継がれています。

二つ例をあげます。図2に示すのはテキスト解析AIを用いた紹介状の自動作成機能です。TXP Medicalの有する電子カルテのテキストデータを構造化・正規化する技術を基盤に、臨床病名に応じてpick upすべき症状・所見・既往歴等を自動抽出して紹介状にまとめ上げます。ここに、PACS画像の連携機能や、メッセージアプリへの自動post機能を組み合わせることで、院内や病院間で大量に発生する「患者情報のサマリー作成と情報共有」の業務を飛躍的に効率化することが可能です。

図3

また、図3左側に示しているのは音声コマンド入力機能です。日本中の病院で1日何千回と繰り返されているバイタルサインのカルテ入力業務で面倒なのは「個別のフィールドにカーソルを合わせること」であり、「長い文章を打つこと」ではありません。従来の音声入力はここを解決できていませんでした。当社のテキスト解析AI技術を、市販されている音声テキスト化アプリケーションの裏側に仕込んで、急性期医療現場に特化した音声コマンド入力技術を開発しています。結果、「わずか2クリック、順不同にバイタルサインをプレゼンテーション」するだけで、6種類のバイタルサイン情報を正確に音声入力することを実現しました。同技術を、救急隊情報、処方オーダー、トリアージ、看護記録にも応用していくことを予定しています。

図3の右側は画像OCRの機能です。救急外来でのバイタルサインの記載以外にも、一般病棟でのバイタルサイン記載、お薬手帳の情報取得とデジタル記載、救急搬送中のモニター情報の取得、ICU回診での医療機器等の設定情報取得など広く応用可能と考えています。

NEXT Stage ERでは、「ユーザーに新鮮な驚きをもたらす」入力支援AI機能を実装し、業界をリードしていく予定です。

まとめ:NEXT Stage ERによる病院採用力強化

NEXT Stage ERは、問診・救急隊情報・トリアージから学術研究支援まで、救急外来で必要とされる全ての機能をカバーした救急外来部門システムのNew Standardです。救急外来において断片化された個別のシステムを導入する必要はなく、NEXT Stage ERのオプション機能でスムーズなIT化を実現することができます。この2年強で、全国の救命センタークラスの36病院で導入が決まっています。(2021年1月現在 図4)

救急外来の部門システムとしての機能をNEXT Stage ERに全て集約できることは、病院にとって大きなコストメリットにつながるでしょう。

図4

さらに、病院経営上の強力なメリットとして、NEXT stage ERは「若手医師の確保」につながります。若手医師のトレーニングにおいて、救急外来業務の占めるウェイトは大きいです。研修医・初期研修医の募集サイトには「給与」と並べて必ず「救急車台数」や「救急患者数」の記載があります。現代の若手医師は、いわゆるスマホ世代ですから、前時代的な書類業務を雑用と称して嫌い、ペーパーレスや働き方改革を掲げながらIT化のセンスを感じない病院は勤務先の候補から外されてしまいます。

さらに、若手医師の間でNEXT Stage ERは確実に、「臨床研究のできるツール」として口コミが広がっています。若手医師のトレーニングの過程で、臨床業務だけではなく「臨床研究」に興味をもつ年次があります。臨床経験を積む点では市中病院の人気が高いですが、臨床研究を行うには大学病院というのが従来の常識でした。NEXT Stage ERの場合は、市中病院での豊富な症例数を生かして臨床研究のできるツールとして認知され、医局人事の中で大学病院に逆輸入されるケースも増えてきています。病院救急外来でしっかり働いてくれる若手医師を確保するためには「アカデミックキャリアも積める」市中病院というブランディングは今後必須要素になるでしょう。

救急外来をはじめとした日々の病院業務をセンスの良いIT利用で効率化していくことは、未来の病院の生き残りにも直結すると考えられます。

※本記事は「月刊新医療」2020年7月20日号を一部改変して掲載しています。

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